リラックスと緊張

勁空勁の際、相手を吹き飛ばすほどの氣の力を作るには、リラックスと緊張が必要である。野球のバッターを見て欲しい。ホームランを打つ前はジッと構えて動かない。そして極限まで体の力を抜く。体を緩める。好きな球が来た瞬間、体の筋肉を一気に爆発させる。軸足を最大の筋力でその力を体、腕、手首、指に伝えて連動させて、バットまで全ての力を集約させるのだ。ホームランが生まれる。相撲も同じことである。相撲は意拳と同じ原理を使う。最大の力で押すのである。何があっても、前に出る。立会い前の力士を見てもらいたい。見て分かるように、なるべくリラックスして体はフニャフニャである。そして立会いの瞬間、一気に相手にブチかますのである。力士の腹は食事と訓練で大きくなって重心は下がりに下がっている。相手を浮き上がらせる為である。勁空勁のワザをそのまま伝えている我が尤氏長寿養生功には同じ原理で勁空勁をかける瞬間、野球や相撲と同じように直前まで体はフニャフニャでリラックスを保っている。が相手と接触する瞬間は筋肉の力を接触する個所に集約させて相手を吹き飛ばすのである。もちろん、その後はリラックスして、氣を最大規模に出して相手をコントロールする。言うは易し、行うは難しである。最初のうちは、私は失敗の連続であった。トライアンドエラーの毎日で技術を磨いたものだ。相手の頭が私の顔の鼻に当たって鼻血を出した時もある。一朝一夕にはいかないものだ。野球や相撲に限らず、他のスポーツにも同じ原理が通用するはずである。このリラックスと緊張は相反するエネルギーを上手く使い分けてミックスして人間の持つ可能性を最大限に発揮するということである。動の極のジャンプと静の極瞑想を人間の身体と精神に取り込んで氣を蓄えて人間の能力を最大限に発揮するのであるから、応用出来るのは武術の範囲内に止まらない。凡ゆる分野に応用出来る。未来のスーパーテクニックだ。この原理が分かった者だけがこの未来のスーパーテクニックを共有できるのである。私の先輩とこのことで話しするといつも徹夜であった。今でも思い出す。