食について

世の中、食についての説は星の数ほどある。私がここで述べるのは、正食のことである。正食とは、歪みのない食事が健康に良い影響を与える。玄米菜食は今は亡き食制の井上先生が力説していた正食で、さまざまな難病を食事だけで、治していた徳島で薬局をしていた大本教の昔からの信者で、私も何度か治療していただいた仁医の先生であった。戦争末期、海軍兵学校にいって、剣道の達人であった。私は井上先生から教えを受けて、玄米おにぎりとヒジキを毎日のように食べたものである。井上先生にお会いする前から、私は肉食を排して、玄米菜食はしていたのであるが、先生にお会いして以降、玄米菜食に拍車がかかった。お陰で、95キロあった体重も十年で63キロまで落ちたのであった。しかし、日本に帰国してからは、白米も肉も食べるようになった。体重もまた少し増えたが、体調はすこぶる良い。あまり体重が増えると身体に良くないと思い、野菜をたくさん食べると体重はすぐ落ちて体型もスリムになる。体重体型に関しては自由自在なのである。私のように高齢になると体重のコントロールは難しい。井上先生は八十を超えてらしたが、小柄でも、握力は抜群に強く、短パンからのぞく膝はピカピカで光を反射してスベスベで、とても八十の老人には見えなかった。大本教の信者さんは一様に若く見えるご老人が多い。そして、話が面白い。それはさておき、食に戻るが、玄米菜食を長い間続けると私の事例のように身体の調子と体重体型の維持は大変楽になる。菜食の内容は土の下になる根菜が主なものである。東洋医学的な説明では、根菜は身体を温めて、繊維質は便を促して、体重を減らす。私のアメリカ人の患者夫婦が鼻炎で治療に来た患者は夫婦共にお相撲さんのような体型で、鼻炎が治った後、減量の治療を頼まれた。私の言うことを守ることが出来れば、いっぺんに痩せることができると言って、減量が始まった。玄米菜食を勧めて耳のツボに鍼を置く。すると、この夫婦は日本食が大好きで玄米菜食が気にならない。どんどん痩せてあれだけ出ていた腹はへっこんで、一年後には夫婦揃って、 合計150ポンド、キロに直すと75キロ減量したのであった。アメリカの薬品会社の重役で、その後にはスイスにヘッドハントされて、今はスイスに住んで、フランスのパリに出かけてはフレンチファッションの服を二人で、着こなしていると連絡があった。

減量を考えている方はぜひ、お試しあれ。