因果応報

カネが欲しい、有名になりたい、人前に出たい、特殊な武術の系統を受け継ぎたい、イケメン  で女にモテたい、これは何であろうか?これでは俗欲の権化ではないか?こんな人間性の者が尤氏意拳の宗家創始総師範の大先生だと言っている。瞑想家だと言っている。こんな人間性の者は氣功を訓練してはいけない。ほんの僅かでもチカラを与えれば、裏の黒い闇のエネルギーに変換して、ロクでもないことに使われてしまう。私はドクター尤老師と師母に対して申し訳なく、私が責任を感じるが故に、こんな恥な人間性の者に、内容のない武術的技倆もない者に尤氏意拳などというたいそうな名をつけて宗家創始総師範と名乗らせる訳にはいかない。道場生を騙してカネを掠め取って逃げている、そんなにもカネが欲しいならば、昼も夜も働いてカネを貯めることだ。

私の患者にこんな人がいた。戦後アメリカに来て、庭師、ガーデナーとして昼に働き、夜も病院の掃除をして寝ないで、カネを貯めた。遂に日本人で自分の銀行を作った。私にこんな話をしてくれた。

ある日、昼の仕事を終えて、バーに入って、ビールを飲んでいたが、大きな白人が来て、お前はジャップだろう。こんな所で我々と一緒にビールなんか飲むんじゃない!と言って、顔に唾を何遍もかけられたと言う。最後の唾でカッと来て、思わず習い覚えた柔道で胸倉を掴んで、背負い投げで投げたら、相手は背中を床に思い切り叩きつけられた。それでも怒りは収まらず、そいつの髪の毛を掴んで、床にゴンゴンゴンと打ち付けたら気絶してしまった。そして、警察官が駆けつけて事情を聞かれたら、周りにいた白人がことの次第を説明して、ことなきを得て、家に帰って良いとの事であった。話を聞いた私は患者さんの手を両手で握り、、、、さん、あなたのような日本人が先に来て、こんな白人を投げ飛ばして開拓していただいたので、

我々のような若造が今来て、大手を振って歩くことが出来るんですよと言って、ありがとうございます。とお辞儀をして私は言ったのである。一人は働くことを嫌がり、カネの不祥事を起こして迯げ回る、一人は昼も夜も働いて、銀行まで作り、アメリカ人の差別と偏見に柔道で立ち向かう。日本人の男としてどちらが男だろう?どんな者でも分かり切ったことである。私にはこの八十を超えた老人はイケメンで、彼の人生もイケメンであった。他人から掠め取ったカネで自分を高級車高級靴で飾っても、送る人生が醜ければ、イケメンではない。私は顔がイケメンにはなりたくない。私の人生をイケメンにしたい。