バスク地方

八十年代に訪れたサンセバスチャンという街はあの赤いベレー帽で有名なバスク地方の中心地である。フランスとの国境近くにあるのでフランスの影響を受けている。そのせいか、ここの男たちは全員

料理が上手い。サンフランシスコにも

バスク料理専門店があって、妻と良く

出かけたものだった。美味しかった。

妻は美食家で、一流の味でないと満足

出来ない。私には縁の無い誕生日や

クリスマスには大抵はこういう一流どころでないといけない。しかし私は楽しんだ。私の知らなかった世界だった。

本場の料理を経験した私は英語は

アメリカ人と同じように話せるし、スペイン語も片言ならば注文も出来る。

話を戻す。このサンセバスチャンには

少林寺拳法支部があった。

講習会で私の持つ全ての技術ワザを

授けて講習会が終わると、待ちに待った

宴会にバスク料理が並ぶ。食前酒に面白いお酒が出た。りんご酒である。お酒の

度数が極端に低くて飲みやすい。と言うのはウソで、特殊な容器に入っているので

飲みにくい。病気になった時に使う

水差しの大きいモノで口よりずっと

高い位置からジャーっと口に注ぐので、

的が外れると大変なことになる。

りんご酒の洗礼を受けてから、肉、

魚、野菜、のバスク料理のオンパレード

である。全てどれを食べても美味しかった。バスク人は誇り高く、頑固一徹だが

優しく、私とは仲良くしてくれた。

同じ趣味を持つ者には国境が無い。

フランスには少林寺拳法を牛耳る日本人がいて、試合形式の乱取りを良くやって、良く何もせずにただ立っているだけの現地の拳士の顔にいつも、蹴りを入れていた。

強さだけを誇示する者がいて、現地の

人間は彼を嫌った。私に良くそのことを訴えて来たけども、私にはどうにも出来ない。一度本部で会ったことがある。

確かに嫌な無礼な奴ではあった。こいつはフランス語は

ほとんど出来ない。日本人指導者の

ヨーロッパ域での権益のみ訴えて、本部の

承諾を得て、そのようになった。

食事中に持っていたナイフを木の壁に

投げつけて、刺さったナイフを見た

現地の拳士が怖がるのを見て満足していたことも聞いた。時代錯誤の武術家<を/p>

気取っていた。

こんな男の感性で作る料理はバスク料理

より美味しいはずはない。

こんな、あんな、反面教師になる例を

私は忘れない。今の尤氏長寿養生功

全て反対に生かして、運営に氣を配っている。日本の男の定義を履き違えて、

自分の権益を守るだけの忌まわしい

行動はスペイン人にはどのように映った

のであろうか?遠い昔のことである。

私が聞くところでは、少林寺拳法の団体が隆盛を誇っているとは聞いてない。

逆に地方支部の離反が相次いでいると言う。アホウな日本人指導者がいれば、

本部が結託してそんな指導者の意見を

取り入れれば、ポシャる一方になって

当然なことである。今の時代は、

江戸や明治に流行った武術の、オトコ、オトコのメンツやチカラの誇示を見せる

時では無い。もっと頭を使いなさい!

尤氏意拳も然りである。