来者不拒、去者不追
師母はイタズラで、良く男子道場生の腰の命門に手を当てて氣を感じては、顔を
ジロっと見て、ニヤニヤしながら、
昨晩何をしてたんだ?とからかった。
ある日、私の前に来ては、通訳の男に
ベラベラっと中国語で言う。中国語が理解出来ない私は何を言ったかと聞くと、紙に漢字を書いた。来者不拒とある。
女性を断らないだろう、お前は、
とっさに冗談を言いたいと察した私は
去者不追と書いてやったら、そこに居た
中国人は全員腹を抱えて大笑いしている。冗談ではない。毎日七時間訓練している私にそんな女性と一緒にいる時間などはない。しかも働いて、お金のほとんどは月謝に消えている。
師母は良く妻帯者にこんな冗談をしていた。茶目っ気があって良く道場生を
からかって笑っていた。
漢字は様変わりしている。韓国では
漢字はもう消滅してしまった。ハングル語だけである。中国では革命漢字、唯一、まともに旧漢字を使うのは台湾で、
日本では旧漢字は使わなくなった。
私が中医学を習えたのは漢字を知っていたことが大きい。他の白人アメリカンは
この時やり取りが分からずにキョトンとしていた。日本人を見くびらないで欲しい。こんな初歩の漢字は日本人なら
誰でも知っている。
来者不拒、去者不追、南無阿弥陀仏。