神秘体験

尤氏長寿養生功を習い始めてしばらく経つと、立禅をしている時に、不思議な現象が起きて来た。瞑想中に身体がドンドン大きくなって、道場いっぱいの大きさになって、天井に頭が壁に肩がくっついて窮屈なほどの大きさになってしまった。またある時はちびた鉛筆のサイズになって立っている。怖くなって、目を開けて見るとなんのことはない。ただ立っているだけであった。私の先輩にこのことを聞いてみると、いやそれで良いんだ、それは瞑想が深まって、感覚が氣に反応してエネルギーが大きくなって身体のサイズを大きく感じているからそのまま立って、目を開けてはいけないと言うのである。またある時は、エレベーターに乗って宇宙へと上がる、逆に地球の中心に向かって、沈み込む。ある道場生はたくさんの鮮やかな色を見ると言う。私は色を見たことはない。いつも身体のサイズとか、宇宙へと舞い上がるか地球の中心に向かうものすごく早いエレベーターに乗っているのであった。ある者にそのことを言うと、自慢して、こうなった、ああなったと師母に逐一報告して褒められたがっていたのであるが、そんな者に限って、上達は遅くてジャンプも下手であった。いわゆる、口氣功というものである。武術武道をしている者にはたくさんいる。今まで何人も見て来た。この神秘体験を経験するとそれから先は何回も体験する。この時の脳の状態は変性意識状態と言って、スポーツ選手が経験する「ゾーン」ということであろうか?こんな状態の時には自分の能力が限界にまで到達して、最高で最強のチカラを発揮できるということになる。尤氏長寿養生功を訓練する者にとって、この神秘体験は重要なことである。しかし、この体験をしたから、もう一度同じ体験をしようとしても、同じことは起きない。起きたことは過去のことで、執着すると同じ体験はしないのである。放って置くと、同じことではないが、別な現象が起きてまた私を驚かせたものである。瞑想が深まって、身体の体調はすこぶる調子が良い。そのままジッと立ち続けたい、何時間でもそのままにして放って置いて欲しくなってくる。不思議な体験であった。