シャオフー 小虎

私はチーター、ラオフージャイと呼ばれたが、一般道場生はシャオフー、小虎と師母に呼ばれた。私はこの私の呼び名を含めた、中国武術の師弟関係や本格的な伝統の中国武術の雰囲気を気に入って楽しんだ。日本武術には無い呼び名をつけて弟子を呼ぶ。師母には武術の師としての風格と権威、迫力があった。日本の武術武道は生徒をまるで、金太郎飴を作るように十羽一絡げに大量生産する傾向があって、段位制度の、黒帯になったら急に実力を伴わぬ権威を持ち、威圧的な態度になるブジュツカが多いのに閉口していた私には珍しく、魂を揺さぶられる感覚があった。ひとつの型や訓練を何年もかけて、筋力を不動で揺るぎ無いものとする中国武術に感心した。一方日本の武道では次々と新しい技を昇段審査で買うような商売になっている状況を私は憂いていた。なおさら、師との一対一の訓練に没頭した。今、日本で尤氏長寿養生功を教授するにも同じシステムで、一対一の真剣勝負の訓練を授けることは、意拳の武術としての伝統を守ることになると思い、私が時に師母になり、時にドクター尤になって、その気迫とワザと雰囲気を踏襲している。