❷ワザより身体

もうひとつ言っておかないといけないことがある。尤氏長寿養生功を始める時の、初心者の体内の氣は身体前面の正中線上の胸に位置する壇中と言うツボにある。壇中は正中線と両乳首のラインの交差する点のツボである。站椿と震脚で氣を壇中から丹田に降ろすことが尤氏長寿養生功の修行の目的である。簡単に壇中から丹田に降ろすと言うが、壇中から丹田までの距離は短いけれども、私の経験から言うと、チョットやそっとでは氣は降りない。何年も何十年も時間がかかる。丹田に降りた氣を丹田に降りた状態に留めておくことを通氣、と尤氏長寿養生功では呼んでいる。丹田に降りた氣は丹田から上に上がらなくなる。特別な儀式を師母から受けて、通氣になる。別に丹田に降りていなくても、体内の氣は下がるので、武術武道で相手が投げようとしても、とても重くなっていて、投げることは難しくなる。通氣の前から私は氣が大分下がっていた。私を心良く思わない先輩同輩は私を武術的に凹ませようと対決して来たのであったが、私は通氣の前に通氣の先輩たちを投げ飛ばしていた。師母は通氣にもなっていない私が通氣の者を投げ飛ばしていたのを見て、とても彼らに怒っていた。通氣のくせにだらしがない、と。私が毎日二回練習に行っていたので、氣が特別に早く、氣が充実して、先輩たちよりも重く大きくなっていたと思われる。私には丁度良い実験と氣の実戦になって、喜んで先輩たちを師母の目も気にせずに思いきり投げ飛ばしていたのであった。このように尤氏長寿養生功を真面目に一生懸命に訓練すると、氣は重くなって武術武道やスポーツに応用できるのである。私には相撲や柔道の基礎トレーニングには尤氏長寿養生功が最適なものとなって、相手がかなりチカラがあって大きい者でも自分が投げられることはなくなる。この尤氏長寿養生功の基礎訓練は日本の国技、相撲、柔道には応用できて、身体の小さい者でも身体の大きい者を制することを可能にする、というのが私の尤氏長寿養生功から得た考えと結論である。ワザより身体を重んじ、特に下半身を徹底的に鍛えて武術スポーツの基本の身体を作る。体幹レーニング、と最近では言っている。これが、尤氏長寿養生功の修行の意味であり、極意、真髄、秘密である。私が一時期教えた者は、早く勁空勁が出来るワザを重視して、身体を作ることは軽視していた。