インターネットより人脈ネット

タヒチの首都パペエテに到着して迎えを待つのだが誰も迎えに来ない。入管のお偉いさんのオバさんが言うに帰りの切符を見せろ、と言うが、スマホのバッテリーが無くなって、e チケットの情報を引き出せない。最後にエアーニュージーランドから切符の予約情報を得て、入管を突破する。今度はライアテア島に行く飛行機の予約がされていない。入管のお偉いさんが近くの安いホテルに一泊して次の日の飛行機で行け、と言うからじゃ予約を取る前にいくらするのか聞いて安けりゃ泊まります。と言ったら、電話して来るからここで待ってろ、と言ったきり帰って来なかった。どうしようもなく、暗くなって来たので、タクシーを取って、あそこだと言われたホテルに向かい、レセプションで予約が取れてないとの一点張りとクレジットカードがないと、これだけ現金で払え、法外な金額である。空港で野宿も覚悟した。こちらは真夏の四十度だから凍え死にすることもないだろう。空港に戻るタクシーが来て、見ると中国系タヒチアンだったので、安いペンションで良いから友だちのところを紹介してくれと言ったら一件見つかったので、そこに泊まることとなった。するとまた奇跡が起きて、ペンションの主人のオッチャンが私の行く島の指導員二人の友人と言う。すぐに電話してもらって、ついに連絡が取れたのであった。翌日の最初の飛行機の予約を取ってもらって翌日朝早く、念の為に予約を取ってない可能性があるので、持っていた円を全てタヒチのお金に換えてカウンターに行けば、案の上予約が取れてない。なけなしのお金で切符を買って、島に到着すると私の指導員の一人が待っていた。インターネットが使えない時には、人脈ネットの方がずっと頼りになるのだな、と思わされる事件であった。古来からそうして何千年もして来たことが、たった二、三十年でいっぺんに変わることはない。こんな小さな国では、人脈がものを言う世界なのだ。私がこれまでこの幅広い人脈を築いていなければ、こんなことにはなっていなかった。島に着いてからは、地獄から天国に来たように状況は一変して、今夜は指導員の氣功の生徒が開けてくれた海岸近くのバンガローに寝ている。無料である。三十年も会っていなかった人たちとも再会出来て、スーパーマーケットを経営する友だちからもらった新鮮なマグロの刺し身と果物で夕食を二日ぶりに食べて、スマホの充電器も借りてルーターも手に入れてやっとホッと出来たのであった。二人目の患者は元市長の耳が遠くてめまいがひどく、飛行機にも乗れない人だった。良く観察すると身体の一方だけが高く緊張しているので、状態を説明して治療を施すと、めまいは無くなり肩と腰の高さは均等になっていた。耳に置いた針をたくさん刺激するようにアドバイスして治療は成功した。お金は貰わなかったが、後で、事情を説明して、ニュージーランドでの飛行機の待ち合わせの為の三泊のホテル代を払って貰えるようにみんなに言うつもりだ。いよいよ明日から今の市長の下で働く職員全員を前にして、氣功と東洋医学の治療をセットにした模擬講習会をするのだと言う。身体が大分休まり、気力体力が戻ってきているからビックリすることが起きるだろう。ちなみにタクシーの運転手は市長さんの知り合いでのあった。人の繋がりは分からないものである。