先人の境地

私が尤氏長寿養生功を修行して、何ものにも私の心が揺るがぬこと、いわゆる境地を目指していたのであったが、内家拳の中でも、太極拳の理想とされる身体と言われることは、上虚下実と言うものである。修行しているうちに私の身体はドンドン変化して行く。下腹はまるで、妊娠中の女性のようにスイカのようにマルマルと大きくなって、脚の筋肉は太く大きく、充実感があり、その反面、上半身には筋肉はほとんどついていない。知らないうちに上虚下実になっていたのであった。太極拳の理想の身体はたった、数年で出来上がっていた。尤氏長寿養生功の訓練は、密教の影響があって、自分が欲しいもの、こうなりたいと思うことが急速に手に入れることができるのである。現実的で、自分の人生に欲しいものを手に入れたくて、この氣功の本質を早くも知って入門して来る者も実際、いたのであった。もちろん、師父も師母も上虚下実であった。超高齢になって、中国からアメリカに新天地を求めて、移住できるそのことは、上虚下実であった身体にその原動力があると私は感じたのである。見える身近にある身体を鍛えると上虚下実になって、その境地、強い心が人生に影響を与える。そして、私の体験から、尤氏長寿養生功は生きている間に理想とされる上虚下実を短期間のうちに作り上げてしまうメソッドである、と確信するようになった。先人の知恵と境地は脈々と修行を通じて受け継がれて行く。だから、良師を求めねばならない。良師はそのまた良師から先人の知恵と境地を受け継いでいる。身体が境地を産み、境地が身体を産む。心と身体はどちらが先に鍛えるのか?と言えば、それは身体を先に充分に鍛える必要がある。そして、私はその先人の知恵と境地を携えて、私は日本を離れ、もうすぐタヒチに移住する。