グランブルー

フランス人のジャック マイヨールがダイビングで水深100メートルまで潜ってから今では世界に十二人ほどが百メートル以上潜れると言う。百メートルを潜れる者たちは誰もがある特別な感覚を体験するのだと言う。水深百メートルではサッカーボールがペシャンコになるほどの水圧を受けて、人間の肺は三分の一に圧縮される。そんな状況の中で、彼らは心が満たされて、幸福感があって、いつまでもそこに居続けたいと言うのである。私はそんなに深く潜ったことはないが、彼らの言っている感覚は私も経験がある。瞑想の極も同じことであろう。深い瞑想が出来た時には至福感があって、いつまでも立っている場所、座っている場所にジッとして居たくなる。瞑想には死の危険は無いが、潜水百メートル以上になるとブラックアウトと言って、酸欠状態になって脳に障害を負ったり、死ぬ者も出る。このダイバーたちの訓練は如何に精神状態を無心に保つことが大事だとして禅やヨガに答えを見いだすのだと言う。面白いことである。身体活動の極を精神の極に答えを見つけている。武術の極も日本で剣道柔道、中国の意拳が瞑想を取り入れて、発展発達を遂げている。尤氏長寿養生功意拳の基礎訓練と站椿功にチベット密教の瞑想を融合して勁のワザから空勁の神ワザへと進化させている。その訓練も身体活動の極まで到達せねば体験出来ないものがある。どうやらこの辺に凡ゆる身体を使った人間活動の達人になる秘訣があるように思われる。