最後の一踏ん張り

氣の養成については何遍も触れているので、またか、と思われるかもしれないが、他の分野の一流も同じことを言っている。私の体験から、肉体の限界まで訓練しても、その限界は本当の限界ではなく、未だ本当の限界に は達していない。限界の先にある限界に到達するチカラが氣なのだ。オリンピックの選手を見よ、誰でも一流の選手はみんな言っている。メンタル、精神力をもっと高められるかが問題です、と。肉体の裏にある見えないもの、精神力、これをハングリー精神とかメダルへの執念とか、その分野によって表現が違うが、私に言わせれば、それは氣である。肉体の限界に挑戦して、無限に限界点を伸ばす努力と精進が必要である。本当の敵は己れ自身の中にあると言う者もいる。表現が違っても、何を言いたいのかは、氣のことを言っている。ほとんどのオリンピックを目指している選手の技術は拮抗していてほとんど同じである。同じ技倆を持つ者が競走する時には、最後の一踏ん張りでどちらが勝っているかが決まる。その差は僅かなものであろう。日常的に最大規模の訓練をして、自身の氣を作っておけば、いざという時、試合などの時に相手より一層の踏ん張り、氣が出て、肉体が自分の思うような動きをするのである。私もテレビの番組に出演依頼があった時には下準備も無く、毎日の訓練瞑想を充分にしていたことを信じて勁空勁を初対面の人に使ったのである。最後の一踏ん張りは氣のことであり、毎日の訓練の中で培われるものであった。この氣は病氣になって、病院に入院したり、ケガをした時に最後の一踏ん張りで、手術から生きて生還したり、ケガも最小のものになったり、早く治る自然治癒力が最大限に発揮されることになる。