International 国境を越えて

私は国際的な感覚を養う目的の、大学の寮で外国人、特にアメリカ人と同室で生活する環境で大学生活を経験した。そのせいもあって、アメリカへの移住を若い時に決意して渡米をしたのであった。二、三年住んだ後には日本に戻って来ようと思っていたけども、結局は四十三年アメリカに住むことになってしまった。アメリカは私にとって、学びの国であった。言語の英語を実地にアメリカ人のアクセントに倣って本場のカリフォルニアの英語を勉強することとなった。もう一つは世界に一つしかない、とても簡単には習うことの出来ない尤氏長寿養生功を習得する機会を得たのである。アメリカのサンフランシスコには世界中から本国の政府から迫害を受けた人々が集まってくる土地であるので、ドクター尤老師と師母に会うことになるのは必然的なものであったかもしれない。しかし誰でも学ぶことになるとは限らない。私が中医のライセンスを取得していたこと、新しく中国武術を習いたくて探していたこと、などの私が学ぶに私の気根がすでに出来上がっていたことなどの私側の準備が整っていたから、そのエネルギーが師母と引き合わされる運命にあったと思われる。そしてまた、来年にはタヒチに移住することになる私の運命は国境を越えてインターナショナルな活動の場をいつも与えられて導かれる動線があるように思われる。タヒチには三十年ほど前に訪れて知りあった中国系タヒチアンと友人以上の付き合いがあって彼の父親のお墓参りに去年タヒチに行ったことから、移住することになってしまった。こんなにトントン拍子にことが運んでもうすでにビザの書類は全部出来上がって、入管に提出するまでになっている。もう一人のフランス人の友人が今年来日する折にフランス大使館に同行してもらうことになっている。尤氏長寿養生功のドクター尤老師、師母も国境を越えて中国からサンフランシスコに老齢の身で移住した。私もまた老後にタヒチに移住する。尤氏長寿養生功は国際的で、国境と人種を超えて、種を蒔き、育て、その縁ある土地に根付き、またそこから国境を越える運命にある。International な武術氣功と言えよう。それほどに世界的な性格を持った、人類に必要な健康長寿法なのである。人間の精神生活に革命を起こして、ライフスタイルを変えてしまう。瞑想をする場所を小さな私のボロアパートの部屋に半畳足らずでも、作って豊かな生活を送る。このことは人間を根本から変革する契機となり、真の幸せとは何かを考えさせることになる。中国の氣功から日本の氣功になって、またタヒチの氣功から世界の氣功となって行く。尤氏長寿養生功は国境と人種を超えて前に進むのである。小さな枠にははまらない。一時的なカネ、自己顕示欲は小さな我欲で、彼らは国境を越えることが出来ない。