氣功のユニフォーム

剣道には面と籠手、胴などが必要で、柔道には柔道着が必要である。私には高嶺の花であって、練習するにしても手も出なかった。以前、インドネシアに行って講習会を開いた後にオレにあんたの拳法着を置いていってくれ!と言われたことがある。当時、インドネシアでは日本製の道着はあまりに高く、彼らには手が出なかった。それで私の道着を欲しがったのだ。今思えば置いてくれば良かったと思う。武術を習うには金がかかるのである。尤氏長寿養生功を習うには、ジャンプに耐えるシューズと汗を吸い取ってくれるシャツにタオルが必要である。夏は半袖、冬場は長袖である。私は特に靴にこだわった。ジャンプで足に衝撃を緩和してくれる靴の中にエアーバッグの入ったバスケットシューズを選んだ。が、二年ほどで、エアーバッグはパンクしてしまった。また買い直して新しいシューズを準備したけども、また潰れてしまった。シャツも五枚用意して手提げのバッグに入れてずぶ濡れになったシャツを新しいものと毎回交換した。ずぶ濡れになったシャツを絞るとまるで掃除の時の雑巾だ。一日に二回練習したので一日に十枚必要だった。洗濯はする暇もない。ベトナム人の洗濯屋に全部持って行くと、洗って乾燥して畳んでくれる。徹底的に訓練に集中していたのである。一度にかく汗はハンパではない。アゴから垂れ落ちて足の周りがいつも濡れていた。肌はツルツルスベスベになって、女性の肌にも負けない。私の妻が、いつも先生には負けるわ!と言っていた。我々の準備するユニフォームや道着は高くない。強いて言えば、靴くらいのものである。中国人の使っていた功夫シューズは薄っぺらでジャンプをすると足にとてつもない衝撃があって、ジャンプで筋力をつけることは難しかったろう。アメリカでは良いバスケットシューズを買えるので、脚の筋力はかなり鍛えることが出来たと思われる。私もまた、エアーバッグの入ったバスケットシューズで思い切ったジャンプをして、誰にも負けない筋力を持つことが出来たのであった。