師母の機関銃

機関銃と言っても、戦争で使われる機関銃の話ではない。尾籠なことで申し訳ないが、師母のオナラの話である。私が最初に尤氏長寿養生功の道場に通っていた時から、師母はオナラの達人である。その音は大きくはないが、たて続けにパパパパパ、と機関銃のように鳴らしていた。二十年経ってもおんなじであった。どのようにしたらあんなに続けて鳴らせるのか謎であった。氣が強くなって来るとあんな風に機関銃のようなオナラが出せるのか?と思い、早くあんなオナラを鳴らせるようになりたいと思って訓練に励んでいた時、ある日突然、師母の前で、機関銃のようなオナラが出て、師母が、お前の音は非常に良い、と褒められて、あゝ俺もついに良いオナラが出るほど上達したか、と誇りに思ったものだった。オナラを人前でして褒められたのは、私の生涯で初めてのことである。そのように師母のやること為すこと全てマネをして動作、癖までマネて上達を図っていた。私が通氣の儀式を受けた後に、道場生のある者は声高にミッツが身体つきから顔まで師母そっくりになった、と言って驚いていたことを思い出す。懐かしくも笑ってしまう、修行の断片の臭い話ではある。