愚直

コケの一念と言う言葉がある。尤氏長寿養生功を習うに、才能も体力も無かった私は以前に言ったように無謀にも家財道具一切を売り飛ばして、修行の資金を作り毎日朝晩の二回練習に通った。通常、サンフランシスコの道場生は週に一度しか来なかったから、私は五倍、七倍もの月謝を払って訓練を努めて回りの道場生に妬まれた。ある白人アメリカンは私が金持ちだから毎日練習に来れる、と私に面と向かって言った者もいた。私はこんなバカの言うことに意にも介せず、毎日、誕生日も無く、クリスマスも国民定休日も無く、訓練に通った。二十年経って、急に師母の方からお前が教える時には師母から習ったと言うんだぞ!とシツコイほどにお達しがあって、この氣功教授を許されたのであった。愚直なまでに訓練をやり通した結果が今の私の氣のチカラである。そのチカラは初対面者との勁空勁の成功率が百パーセントを誇り、新しいシステムの氣功整体を創立するまでになり、技術の裏側に氣を使えば驚異的な効果を発揮することを実証している。愚直は愚かなことでは無い。愚直さは針の穴をくぐり抜けるような難しい伝統の秘技を獲得する手段となってそのワザを継承するチカラともなり、奇跡を起こすことも出来るのであった。才能と体力もない私が唯一正しい判断をしたから、今の私が存在している。それほどに私は尤氏長寿養生功に恋をして愛したのであった。