チカラとワザを越える

若い者が武術とスポーツをする時には圧倒的なチカラに、技術を習って武術スポーツを完成させたいと思うのが一般常識で普通なことだろう。しかし、私のような年齢になれば、力には限界があり、ワザにも、身体のキレが無くなって来ることが実感出来るようになると関心や興味はもっと内面的なスピリチャルなものに傾倒して行くことになる。生きているあいだに武術やスポーツを究めてみたいと言う願望が生まれて来ることになる。こんな時に氣功を学ぶことは、チカラとワザを見直す絶好の機会となると私は思うのである。チカラとワザには限界があるが、氣には限界が無い。つい先日も、熊本の講習会で鍼灸師以外に少林拳の愛好家を投げ飛ばすことが出来たのである。私は脚が悪く、イスに座って氣の交流をしてもらったけども、身体障害者になっても、氣が衰えることは無い。むしろ、以前より、氣が強くなっている感覚を持っている。不思議なことになる。歳老いて、チカラとワザは衰えて行くが、逆に氣は強くなって行く。二人の患者も奇跡的な治療となった。急に歩き始めて腕も上がっていた。国指定の難病患者と脳梗塞後遺症の患者であり、とても治療の難しい患者であったにも関わらずビックリするような効果があったのである。このように、氣はチカラとワザを越えることが出来る。出来るだけ早くこのことに気づき、氣を訓練することによって、武術スポーツをより長く、より楽しく学ぶことが出来るきっかけになると私には思われてならない。