病名と東洋医学

アメリカでは鍼灸治療の際には患者が症状と病名を言ってくる。英語での病名を知らないとバカにされる。そこで病名については英語と日本語でも対応できるように勉強した。患者は病名を知って安心するようであった。これは、私は西洋医学の長所でもあり、短所欠点でもあると思っている。東洋医学では、病名を治すのではなく、病気になっている患者を治すものである、と教えられた。だから、西洋医学の医師は病名原因の分からない患者の治療を断ることがある。東洋医学では病名はどうでも良い、と言ったら語弊があるが、病名を聞いても参考にするだけである。病名が問題なのではなく、証が東洋医学には大切なのだ。証とは病名ではなく、身体の病体のありようを指している。例えば、虚実の虚証と言えば、患者の身体の正氣が不足していることを言い、治療は身体を強くする治療となる。陰虚証なら陰の氣不足で陰氣を強めれば、病氣が治ることになっている。痛みがある場合は氣血が結滞しているから氣を経路に流れるような治療をする。

診断の際の証を決定した時には治療法が決まっている。これを東洋医学では診断即治療と言っている。極めて合理的でシンプルなものである。患者一人ひとりに対応する治療だから、病名が分からない場合でも治療は可能となる。西洋医学では、病名の分からない病氣はsyndrome、シンドロームと称し症候群と言って分類している。症候群と言われたら、治療法の分かってない病氣と思って間違いない。西洋医学で病名の分からない病氣は大抵が氣の問題である。氣が流れず、結滞している場合が多い。原因不明の半身不随や突然の歩行困難など、大学病院に行って原因不明とされた患者の歩行をいっぺんに完治させて原因を聞かれて、氣が流れなくなったことが原因です、と答えるしか無かった。六回で大学病院が治療を拒否した病氣の患者は完治したのであった。西洋医学の盲点を埋める形で東洋医学は存在する。国指定の難病などは東洋医学、特に氣功や氣功整体が活躍できる分野となるだろう。今日も圧迫骨折して背骨の曲がった姉から電話があって、これから治療をすることになっている。あれだけ年上であることにこだわった姉も治療効果を認めて、私を少しずつ東洋医学の医師として言うことを聞くようになった。これで奇跡的に回復したならば、姉から先生、と呼ばれるようになるかも知れない。