緊張と弛緩

リラックスしろ!と言われてすぐにリラックスできる者はいない。逆に緊張するようである。弛緩、リラックスは身体活動に於いては重要なことである。野球選手がバッターボックスに入ってホームランを打つ前の構えを思い出してもらいたい、相撲の力士がお互いぶつかる前にも極度にリラックスしていることに気づくだろう。そして身体の全身を相手にぶつけて勝ちを得る。バッターは脚腰のパワフルな回転力を上半身の腕に伝えてそのパワーをバットに移しホームランを放つ。パワフルなスイングや相手を圧倒するぶつかりは弛緩、リラックスから産まれる。

尤氏長寿養生功も勁を打つ前には極限のリラックスした状態にあらねばならない。そして脚と腰のチカラを腕と手に伝えねばならない。師母はいつも言っていた。突きをする時には呼吸をするようであらねばならぬ!と。息を吸う時には筋肉が緊張し、吐く時には筋肉が弛緩する。実は緊張と弛緩は東洋医学の陰と陽のようなものである。どちらも必要だ。太田氣功整体も緊張と弛緩を利用して関節の可動範囲を広げている。痛みなどが伴う機能性障害疾患をたちどころに改善できる。尤氏長寿養生功の勁も緊張とリラックスを利用して勁を打つ。緊張とリラックスで培った氣で相手を触れずに投げてコントロールする空勁ができるようになる。今年は日本でオリンピックが開催されるが、金メダルと銀メダルの違いはこの弛緩、リラックスが極限にまでできるか否かが勝負の分かれ目になる、と私は思っている。普段の生活でも同じことである。どんな状況でも、心身ともにリラックスしていることが大事で健康で長寿になる秘訣である。