phantom pain 幻肢痛

私の治療歴の中で最も特殊な治療がある。英語では phantom pain と言う。

日本語では幻肢痛と言うらしい。

漢字に示す通り、まぼろしの四肢の痛みである。私の友人の友達である。事故で左腕切断となった。手術後無いはずの肘から先に痛みと痺れが出る。労働中の事故であったので、労災保険の適用となって、医師を通しての治療依頼となった。

当たり前だが、見てみると、肘から先が無い。そして痛みがあると言う。私にとって生まれて初めての治療経験である。とにかく腕がまだあるように,触ってツボの位置を確認後、針を見せて、針を刺す。本当は腕が無いので架空の治療になる。針を刺すフリをする。感じますか?

ものすごく感じると言う。患者の脳は元にあった腕を覚えていて神経は未だにそこに存在すると脳は思い込んでいる。十回ほどの治療で痛み痺れは完治とまでいかなかったが、劇的に痛みと痺れは取れたのであった。紹介した医師はこんな治療も出来るのかと驚いていたと言う。私の友人には感謝された。患者の脳が感じていたものは医学的には神経とのことだろうが、私は氣であると思う。