大家の顔色

大家の顔色と言っても、私が私の大家の顔色を伺っているという話では無い。会いたくはなかったが道でバッタリ出会ってしまった。顔を見ると、顔色は赤黒くあ、肝臓腎臓が相当悪いんだな、とすぐに判断できたのである。東洋医学では五行陰陽説に従い、内臓と色は関係する。例えば西洋医学的にも胆嚢と消化器系統に異常があると皮膚の色が黄色になり、腎臓が悪くなると黒くなって、肺に問題あると白っぽくなる。私の大家は怒りっぽく、認知症で異常な行動をとるとか近所の人が言っている。これで謎が解けたのである。肝臓や腎臓に問題あって、内臓に調和が無くて脳細胞にも影響を及ぼし、認知症になって肝臓が悪く怒りを制御出来ない。肝機能が低下して毒素を排出できず、顔色が真っ黒になっている。認知症と言っても、カネの話は忘れない。出て行くのはいつでも良いが、家賃だけは払うように、と念を押す。呆れた大家だ。といくら病気とは言え、氣の触れた人間とは会話が出来ないと思い、ハイ、と言ってその場を離れた。不思議なことにこの大家の孫たちが、私にとてもなついて毎日遊びに来る。大家は怒りっぽく意地が悪いが、孫たちは天使のように良い子たちなのである。トンビが鷹を産んだか?と思う私であった。