太田氣功整体

土地の人も知らない無人の駅を改造したカフェで一息ついていると、話しかけて来た人の良さそうなおじさんが重度の五十肩で肩が上がらず拘縮して難儀していると言うので、私が中医で氣功の教授をしていると伝えると、ぜひ治して欲しいと言うから、鍼がないので手技と氣で対処せねばならない。整体で肩を緩めて本人の氣を感じてもらい、私の氣を感じてもらって肩のツボを押さえるとすごく気持ちが良い、と言う。そして立ってもらって肩の辺りに溜まっていた邪気を追い出すように私の手から出る氣で指先へとなで下ろすと、明らかに感覚で邪気が動いて指先から出て行ったのが分かったようで、大声を上げて喜んでいる。念の為に氣功道場でしているジャンプを二、三回して肩の邪気を足の裏から追い出してやると治療は終了である。肩を上げて回してみてください?!というと、奇声を上げて狂気している。この後、全く上がるはずの無かった腕が上がり、回すことの出来なかった肩は両方全方位にクルクルと回しても痛くない。東洋医学で言う即治、である。以前からも即治していた経験はあったが鍼を使ったものばかりで、私の氣はこのようなレベルにいつの間にかなって、鍼を刺さずとも手技の整体と私の氣のみの治療をずっと前から考えてはいたのである。日本の整体には興味と批判も私にはあって、私の太田式氣功整体の構築完成をしてみたいと思っていた。縁とは不思議なもので、泊まった海のすぐそばにあるゲストハウスのオヤジさんが同じように、梅干しを作る作業をしてから肩が重くてだるくてどうしようもないと言うから、これも何かの縁で、太田式氣功整体の完成の為の経験と思い、今しがた起こったことを伝えるとすでに同じ話を聞いていたらしくてすぐにやってください、と言うので、太田式氣功整体が始まった。このオヤジさん元サーファーで海のそばで宿を経営する自然人だから氣には敏感で、治療開始後すぐに氣に反応した。また奇声を発して喜んでいる。実はこの二人のオヤジさんたちには私のイタズラで、ワザと立ってください、と言って立とうとする時に私の氣で押さえつけて立てなくしたのである。不思議がっている。最後には感動して奇声が笑い声になっている。この辺では自分の奥さんを嫁、と言うらしい。二人共、嫁に言わんと、嫁に言わんと、犬が喜ぶ時グルグル回るように走り回って喜ぶ姿を見て、私は太田式氣功整体が完成したのを確認確信したのであった。明日白浜に泊まり、東京に飛行機で、帰る予定である。タヒチの代わりに龍神温泉へと移住するにも、太田式氣功整体の完成は必要なことであった。奇しくも、三十年前に何度も訪れて瞑想した若き頃の思い出の地で、太田式氣功整体が完成した意味は大きく深いものである。タヒチでもそうだったが、日本の僻地のような田舎の無人駅の小さな町に起こった奇跡は再来年移り住むこの辺の地で、太田式氣功整体と太田氣功道場の名は間違い無く喧伝されることになるだろう。無料で治療した二人のオヤジさんたちが私の太田式氣功整体の広告塔になってくれることを期待したい。