肘打ち

私の武術家らしからぬ恥な出来事をいくつか紹介しているので、ついでにこれも言っとこう。アメリカから日本に帰国したのは数え切れない。その内の一つにテレビに

私が紹介されて、来日する回数はずっと増えた。そんな頃に成田からバスでホテルに向かうそのバスの中、運転手さんのすぐ真後ろに座り、私の隣には一人の男が座った。出発してすぐ、突然男がタバコを吸い始めた。私はタバコを吸わない。嫌だなあと思っているところに運転手さんが気付いてタバコを吸わないでください、お客さん規則ですから、と何度も制したけども、言うことを聞かない。三度ほど言ったがまだプカプカ吸っている。三度の注意をしても言うことを聞かないので、業を煮やした私はそいつのアゴを右ヒジで打ってやった。火のついたタバコは床に落ちてビックリして怖がるそいつは、分かりましたよ、止めればいいんでしょ、やめれば、とやっと自分の行為が違法であると気付いて平和が車内に訪れたのであった。

こんなようにチカラの行使は正義の裏付けあって行使するべきものであると

思うようになった私がそこにいた。

もちろん正義と思ってもチカラが充分に備わって、相手を制する自信があることが最低の条件である。生兵法はケガの元と言うことわざも知らねばならない。