経験

若いうちには、経験不足で、歳をとった経験のある者から習ってその経験を授かるのが、武術の世界の子弟関係と言えるだろう。何の経験無く、浅はかな一時の経済的状況が悪くなったという理由で、人のカネに手を出して、自分を師範と呼ぶ武術家も現れるこの世の中に、私の勁空勁のワザは三十年の間にさまざまな経験を積んで現在に至っているのである。経験こそが、自分のワザを磨く磨き砂となる。私は今でも、何十年も前に訪れた国での武術家武道家やスポーツ選手と試した氣の交流勁空勁を覚えている。失敗した時もあって、肩を押して来た相手の額が私の鼻に当たって、鼻血が出たこともある。それでも、楽しかった。一つ一つの経験が積み重なって、次の氣の交流に活かされて少しずつ成功例と成功率が増えていった。その経験が今の自分を作った。講習会の勁空勁の成功率は百パーセントになっている。経験の無い者はいつまで経っても同じワザの繰り返しで向上は望めない。哀れにも初歩のワザを死ぬまで続けることしか出来ない。