芸は身を助く

このことわざが私の身に沁みたのは今回のタヒチ出張の旅先に於いてである。私の不手際から、スマホのバッテリーが切れてルーターも空港で購入することを忘れたので、タヒチの入管で足止めをくらい、首都のパペエテで一泊せざるを得なくなって、入管のお偉いさんに宿の手配をしてもらい、そのホテルに行っても、クレジットカードが無いから泊めることは出来ないと言う。同じことがニュージーランドでも起きていた。翌日私が行く島への手配がされておらずに私がなけなしの残りのお金で切符を買って、ついにライアテア島に到着したのであった。着いた時には一文無しになっていた。帰りの経費をどう捻出したら良い のだろうと悩んでいたが、私の患者がいっぱいいて、私が来るのを待っていたので、治療で稼ぎ、帰路の経費を捻出すれば、何とかなると思っていたら氣功の弟子たちが毎日私を患者の家まで送ってくれて、必要と思われる金額を最終日までにお金を貯めて、やっとの思いで帰国出来たのである。最終的には日本の指導員と連絡がついてニュージーランドでの宿泊の予約を取ってもらったのである。何かひとつの技術や芸があれば、まさかの時、絶対絶命の時に役に立って、事無きを得る。まさに、芸は身を助く、と言うことである。私にとっての芸とは、東洋医学鍼灸と尤氏長寿養生功の氣功である。人の痛みをその場で治して針が無い時でも、氣功と手技で対処できる。今回も針がたまたま、使い切って無かった時には、氣を使った手技で、医者が治せなかったリュウマチをその場で痛みのあった手足の関節を即治させたのであった。ちなみにこの患者は病院の看護師で、クスリも使わない私の手技だけで痛みが消失した事実にとても喜び、驚いていた。何でも良い。何か自分の得意とするものを持てば、いざという時に役に立つ。尤氏長寿養生功をとことんまで訓練すると私のようにお金をもらって治さずとも、家族に痛みがある時には痛みを取ってあげることも出来るのである。人に喜ばれて、海外では、文化の交流を通して友人を作ることも出来るのだ。その芸はなるべく人を助けるもの、自分にも役に立つものがベストであると言えよう。