チーター

今、太田氣功道場では、精鋭の道場生が集まり、みんなのジャンプ、震脚の質が向上して施設の体育室の床が一人ひとりの震脚の度に大揺れしている。私はこの瞬間が大いに気に入っている。師母と私の一対一の真剣勝負のジャンプすなわち、震脚を思い出すからである。私の思い出話を美化したり、大げさに言おうとしているものではないことを断わっておく。ホームページにも掲載していたが、私は師母に唯一、チーターというあだ名をつけられた。別に足が速かった訳ではない。五メートルくらいの距離から全力疾走して師母に襲いかかると、師母の氣に吹っ飛ばされて、受け身をとった瞬間に立ち上がり、次の攻撃に移ってまた全力疾走して襲いかかる、このやりとりを師母はお世辞抜きに手放しで喜んでいた。他の先輩同輩たちは私より遅く、人によってはワーワー騒ぎながら転がり回るとユックリ歩いて師母に近寄る者もいる。私は私の道場生にこのことを伝えて道場生も真剣に全身全霊で震脚するようになって来ている。事情を知らない見物客がいたならば、怖ろしがる光景だろう。頑丈に作られた体育室全体が震脚で揺れている。師母が私の震脚に満足したように、私も私の道場生の震脚に満足して来ている。チーター二号が誕生するのも時間の問題である。震脚が激しく、ナイキのエアーバッグの入ったバスケットシューズを履いていたが、エアーバッグは潰れて何回も新品を買って交換した。