才能

人の才能には私の経験では、ふた通りある、と思われる。ひとつは、生まれつきに持って生まれた身体が習うものごとにぴったりのもので、あまり苦労せずに習得出来る能力、一回見て、練習したら覚えてしまう能力と言える。もうひとつは教えられたワザやモノを一回では理解出来ないものを、百回でも千回でも、飽きずに練習出来る能力、ある一定の回数に達した時には自分の能力が、師匠のワザを一回見ただけで、それから先は、一回練習しただけで、ワザを自分のものに出来るようになる能力、である。私の場合は、前者の能力は無く、天才肌でもないので、一回見ただけでは理解出来ない。それで、出来るようになるまで、訓練する。それが一万回であっても、実行した。自然と考えなくとも、身体の方が反応するようになって、海外での武者修行の時に開眼した後には師母のしていること教えようとしたことは、全て理解出来るようになった。凡才が天才になった瞬間であった。天才がゴロゴロしてある訳では無い。凡才が弛まぬ訓練をして、天才になる。このことに気付けば、どんなことも究極のレベルに到達するようになると理解出来るようになる。今、思い出すと、血の滲むような訓練も懐かしく思われるのである。