先輩と尤老師

私の先輩に中国系アメリカンがいる。彼と私は始めからウマが合った。私が尤氏長寿養生功を習うに全てチンプンカンプンで、周りの中国人に日本人である私は嫌われ、差別されたが、彼だけは私をそんな目で見ることは無かった。私が純粋に尤氏長寿養生功に特別な興味を持って懸命に訓練していることを評価して、私には優しく教えてくれるのであった。私より年下の彼を先輩として尊敬していたのである。彼はドクター尤老師から直接に教えを受けている。そして、ドクター尤老師がお亡くなりになる前にドクター尤老師と師母の家に寝泊まりしていたと言うのである。彼からドクター尤老師のエピソードをいくつも聞いた。面白い話を聞いたので共有しよう。ドクター尤老師は夜は寝なかった。寝ないで瞑想していたらしい。ある夜に先輩が寝ていた時にドクター尤の声が聞こえてくるのだと言う。その頃はドクター尤老師の氣と先輩の氣は密接に繋がっていたのでドクター尤老師が瞑想中に先輩を起こして一緒に同じ時間に瞑想させようとしていたと言うのである。私なら良くぞ起こしてくれましたと、すぐに瞑想したであろう。先輩は当時有名なシリコンバレーの世界的企業で働いていたから、睡眠を取らないと仕事に支障をきたしてしまうが、私はすでに仕事は辞めて時間があったのだ。じきにドクター尤老師は亡くなられてしまった。一緒に住み始めて、ある時ドクター尤の自宅で自主トレーニングを見たことがあったと言う。階段を猛烈なスピードで登り降りしていたと言うのである。八十歳を超えた百キロも体重のある老人が出来ることではない、と感心していた。