勁と空勁

勁は中国内家拳太極拳意拳などで有名だが、日本の合気道は勁の武道であると私は認識している。もちろん、修行の浅い者は勁を使うことは出来ない。勁を使おうとすれば、師範クラスにまで長年の修行訓練が必要だ。空勁はその上の領域にあるだろう。そしてもちろん、勁を使うことが目標で、訓練のシステムとしての修行法が存在するだろうが、空勁の修行法が存在する武道は無いと思う。尤氏養生功は今は武術武道ではないが、空勁への修行法は厳然として存在する。空勁は勁力がついてから修行するものであるが、尤氏長寿養生功では、短期間のあいだに勁は使えるようになる。他の武道では、空勁は生きているあいだに出来るようになるかならないか分からぬほどに伝説的な神秘的なワザであると思われているけれども、尤氏長寿養生功に於いては、ごく当たり前に毎回の練習に空勁は使われて、練習の自然な一部として日常的に私などは使っている。教えられたように教えて、私なりに工夫を加えて、空勁を次世代に伝えているのである。私は三十年かかって、空勁をマスターしたけども、私の指導員たちは十年、新規道場生で私が帰国して教えた者は二、三年で勁空勁が出来るようになっている。修行の期間が短くなって来ている。彼らが熱心なのがその理由であるのはもちろんのことだが、私の方も教えることに情熱を燃やしているからである。与える側と与えられる側が同じ目的を持ってゴールを目指す。伝統のワザは情熱を伴って綿々と伝えられて行く。