老いてますます盛ん

私は今年の八月で、七十歳を迎えた。六十を超えて、死ぬような大病を二回と左手首大骨折を経験した割にはなにごともなかったかのようにすこぶる元気である。七十と言えば、社会通念では、老人の部類に分けられて、老人ホーム、ゲートボールなどにジジババが集まって、群れをなして意味のない会話で余生を過ごしているのだろうが、私はこの歳になって、ますます忙しくなっている。講習会の開催は毎月あるし道場生につける訓練は週二回あって、地方にも講習会を開いて一人で、飛行機で、新幹線で日帰りや一泊の旅行をしているのである。これで、身体障害者なのである。もっとも、始めは等級の重い要介護二級からスタートし、今では一番軽い要支援一等級になっている。先日も白浜から東京へ戻る飛行機に乗り降りする階段を昇降機を使いますか?と聞かれて、リハビリと思って、昇降機を使わずに階段を登り降りします、と言って断った。一日十キロほど毎日歩いた強行軍の旅で、脚は痺れて痛みはあったが、私の挑戦する精神は天を突くほどに激しいものである。白浜で知りあった宿の主人が私を介助しようとして、私の身体に触れた瞬間、ワ〜、ごっついなあと言ってビックリしていた。五十年も武術武道に関わり、尤氏長寿養生功も三十年間毎日訓練して来たのだから、当たり前に骨格筋肉はついているのであろう。私は何も意識していないが、一般のホンモノの武術など知らない人がその身体を知れば驚いて当然だ。脚の筋肉を触ってもっと、驚いた。おばあちゃんになった母親がいて、脚をケガして歩きづらいと言うのでちょっとだけ治療してあげたのであるが、一回の治療で歩行器を押して歩くスピードがとても早くなって、痛みも無く、軽くなっている、と言う。太田氣功整体は、私自身は身体障害者であるにも関わらず、さまざまな奇跡を起こしてこの先に私はこの歳で、再度結婚して家族を作り、子どもに勁空勁を教えてオリンピックの選手にしたいと言うとてつもない夢を持って、尤氏長寿養生功の応用を私の家族を実験台にして、証明したいと考えている。私は、老いてますます盛んである。やってやるぞ!という気概を胸に一日を丁寧に嬉しく、楽しく、幸せに生きている。